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その時々で求められる役割に尽力すること|研究者たちの人生訓 #3

泉 惠美子教育学部 教授

私たちの視野を広げ、知識を深め、世界の捉え方を変えてくれる「言葉」。第一線で活躍する研究者に影響を与えたのは、どんな言葉だったのでしょうか。専門分野の偉人や研究者とのエピソードを聞きました。研究者の人生訓は、私たちにとっても真に豊かな人生を築くためのヒントになるかもしれません。

私は、関西学院大学を卒業したあと、高校の英語教員や大学院進学、エジンバラ大学への留学、教育委員会の指導主事などを経て、現在のように大学で教えるようになりました。振り返ると、10年に一度くらい転機があったように思います。そんな人生の節々で恩師との出会いがあり、その言葉によって、進むべき道を照らして導いていただきました。

学部生のときには、宣教師でありアメリカ現代詩の研究者であるマーク・リームズ先生から.ご自宅でキャンドルライトサービスをした際、「世界で戦争や飢餓が起こっている中、あなたは何ができますか」と問われました。学問は何のために、誰のためにあるのかを考えるきっかけになり、とても感謝しています。

大学院では、ゼミの指導教員であった田中正道先生から研究の厳しさと楽しさの伝授と共に、「声がかかるうちが花。仕事が人をつくります」と言われました。仕事が人を成長させるので依頼を断らず、誠心誠意努めるようにとのことです。その後、高校教員をしているときに教育委員会の指導主事にならないかと勧められましたが、教え通りチャレンジしました。

指導主事を辞して大学教員になるか悩んでいたときには、上司から「ここで辞めるのは兵庫県にとって惜しいけれど、あなたが良い教員を育てることが県への還元になります。どんな仕事でもどんな場所でも何か求められていることがあれば、それに応えればいいのです」と背中を押していただきました。

このように人生の中ですばらしい恩師との出会いがあり、心に響く言葉があり、今の自分があると感じています。自分に与えられた使命を考えようとしても、年齢や状況などによって求められる役割が異なり、考え方もどんどん変わっていくと思います。その時々で、アンテナを高く張って自分のなすべきことを感じ取りながら、人との出会いを大切にしていくことが、人生を切り拓くことにつながるのではないでしょうか。

今、私自身は、脳科学などいろいろな分野に興味を持って、英語教育の研究に生かしたいと考えています。以前は狭く深く究めるが良い研究でしたが、さまざまな学問領域を連携・融合させた学際的研究が今の主流。これからも好奇心を持って自己研鑽を続けていきたいと考えています。

Profile

泉 惠美子(IZUMI Emiko)

関西学院大学教育学部 教授。博士(学術)。高校の英語教諭、兵庫県立教育研修所指導主事、京都教育大学教授などを経て、2019年4月から現職。専門は英語教育学(授業研究、評価論、教師教育、小学校英語)、応用言語学、異文化コミュニケーション。英語授業の活動設計と指導と評価では、代表を務める小学校英語評価研究会の「小学校英語Can-Do評価」に関連した研究が文部科学省の科学研究費助成事業に3期連続で選ばれている。

運営元:関西学院 広報部

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