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知識そのものだけでなく、学ぶスキルを学ぶことも大切|学問への誘い #15

角谷 和俊総合政策学部 メディア情報学科 教授

世の中には多くの学問分野があります。研究者はどこに魅力を感じてその分野を専門とし、研究するようになったのでしょうか。関西学院の研究者に聞いたところ、専門分野との出会いや、研究のおもしろさを語ってくれました。その言葉に耳を傾けると、新たな世界が広がるかもしれません。

私の専門である情報デザインやクロスメディア設計といった情報系の学問には、世の中にないものを生み出すおもしろさがあります。具体的な問題を解決するために研究するのではなく、メタ思考で問題を捉えて新しいアイデアを出す。そして、他の人がそのアイデアを利用することで問題解決につながるといったことが起きるのも、この学問のおもしろいところです。私も普段からメタレベルで考え、解決することに注力しています。

新しいものを生み出すには柔軟な発想が必要です。時にはお酒を飲んで気分がよくなって何かを思いつくこともあります。毎年、大手IT企業と本学の学生がコラボしてアイデアを創出するプロジェクト「アイデアソン(※)」を実施しているのですが、そこで学生たちから刺激を受けて思いつく場合もあります。このように、思いがけない瞬間や場所で答えが見つかることもこの分野の魅力であると考えます。

※アイデアとマラソンを組み合わせた造語で、特定のテーマや課題について、新しいアイデアを生み出すことを目的に行われるイベント、プログラム。

もしあなたが何か新しいものをつくりたい、何かを変えたいというときには、思い切って違う環境に身をおくのもひとつの方法であるかもしれません。普段の仕事と全く関係のないところで学ぶことは、30代や40代のビジネスパーソンにとってもおおいに意味のあることではないでしょうか。私自身は、企業勤めのときに社会人ドクターとして大学院で学びました。いまは授業料のサポートなど、社会人が大学院で学ぶ環境は整ってきていますので、もう一度学び直すのもいいかもしれません。

もしあなたがそのような選択をされる場合「学ぶスキル」を勉強するのはいかがでしょうか。私がおすすめしたいのはmethodology(メソドロジー/方法論)や発想法を学ぶこと。例えば、現状の商品を改良したいときに,最初から最高レベルの商品を考えるのは難しいので、まず逆転の発想で最低レベルの商品を考えてみてからさかのぼるなど、スタンフォード大学流ブレーンストーミング(※)をはじめとするいろいろな興味深いメソッドがあります。そうしたメソッドを知ることは、必ずやあなたの学びを後押しするでしょう。

※米国スタンフォード大学のStanford Technology Ventures ProgramのTina Seelig教授が考案した起業家としてのスキルを実践的に磨く方法論。NHKテレビ「スタンフォード白熱教室」でも放映された。

Profile

角谷 和俊(SUMIYA Kazutoshi)

関西学院大学総合政策学部メディア情報学科 教授、社会情報学研究センターセンター長。博士(工学)。神戸大学大学院工学研究科修士課程修了後、松下電器産業株式会社(現、パナソニック株式会社)に入社。社会人大学院生として神戸大学大学院自然科学研究科博士課程修了。神戸大学助教授、京都大学助教授、兵庫県立大学教授を経て、2015年4月より現職。研究分野はデータベース技術を基礎としたマルチメディア・システムおよびSNS分析、クロスメディア設計、社会情報基盤、情報デザイン。著書に『Webで知る-Web情報検索入門』(サイエンス社)など。

運営元:関西学院 広報部

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