BUSINESS

経営戦略をアカデミックに見ることは、社会人にとっての強みになる|学問への誘い #18

小林 敏男国際学部 教授

世の中には多くの学問分野があります。研究者はどこに魅力を感じてその分野を専門とし、研究するようになったのでしょうか。関西学院の研究者に聞いたところ、専門分野との出会いや、研究のおもしろさを語ってくれました。その言葉に耳を傾けると、新たな世界が広がるかもしれません。

関西学院大学大学院国際学研究科で、経営管理、経営組織・戦略、イノベーションマネジメントなどの分野について、指導しています。同じ経営学のカテゴリーでも、マーケティングやファイナンスは定量的な分析が容易です。業界誌や株式市場を見ればデータが取れますし、分析もしやすい。そういった分野の研究は明快な答えを出しやすく、成果も発信しやすいように思います。

一方、組織戦略やイノベーションといった分野は、ある種、歴史研究に近いところがあります。ケースを積み上げて分析し、場合によってはそこから導き出された仮説を統計的に検証しますが、動きの速い現代においては、タイムラグが生じる場合もあります。しかし正確な答えが出ないながらも、そこから導きだされたものが指針にもなり、さらに問いが増えていくところに私は研究のおもしろさを感じています。

たとえば、ある産業に使われている技術が、まったく違う別の産業で活用されていることも少なくありません。好きな産業を深掘りしていくうちに、隣の産業ではどのようなことをしているのか、気づきが生まれることが多いこともおもしろい。1つの産業だけを見ていたら見えてこないことも、産業間の比較することによって共通項がわかり、アカデミックな発言も可能になってきます。

このコラムを読まれている方は、社会で活躍されている方も多いかと思います。大学を出て10年、20年も経っている間に、世の中はどんどん変わってきています。新しいビジネスそしてビジネスモデルが生まれていることは、私が言うまでもありません。このような状況において、専門的な学び直しは積極的に取り組んだほうがいいですし、博士号、少なくとも修士号を修得するような深い学びは、今後社会人に必要になってくると思います。人生は長く、さらに昔と違い終身雇用というシステムもなくなりつつあります。学び直しによって、能力を磨き続けることは重要です。今現在の知識を専門的に学ぶことが大切だと思います。

Profile

小林 敏男(KOBAYASHI Toshio)

関西学院大学国際学部 教授。大阪大学 名誉教授。経済学博士。研究分野は経営学をはじめとする経済学及び社会科学全般。研究キーワードは経営組織・戦略、技術経営、イノベーション。著書に『事業創成―イノベーション戦略の彼岸』(有斐閣、2014)、『法人と組織と資源の理論―経営学省察』(中央経済社、2022)など。

運営元:関西学院 広報部

この記事が気になったら、
感想と共にシェアください

  • X(Twitter)
  • Facebook
  • LINE
  • URLをコピー