発育発達とスポーツを科学的に知り、環境整備に役立てる|学問への誘い #19
溝畑 潤人間福祉学部 教授
世の中には多くの学問分野があります。研究者はどこに魅力を感じてその分野を専門とし、研究するようになったのでしょうか。関西学院の研究者に聞いたところ、専門分野との出会いや、研究のおもしろさを語ってくれました。その言葉に耳を傾けると、新たな世界が広がるかもしれません。
子どもの頃から調べることが好きで、小学生の頃から地域の発掘調査に参加し、将来は考古学者になりたいと思っていました。考古学への憧れは定年退職後の楽しみに残しておいて(笑)、今は、子どもの身体的発育発達やスポーツの適時性などを研究しています。
研究のきっかけの一つは、弟と私の身長差でした。同じ遺伝子を持っているのに、なぜ弟の方が私よりも10cmほど身長が高いのだろうと疑問に思ったのです。子どもの頃の通知表や健康診断表などから身長や体重を調べて、その成長過程を比較したこともあります。このように自身の経験や「なぜ?」と感じたことが、今の研究テーマにつながっています。実は世界において、毎年のように身体測定を行なう国はそれほど多くありません。留学したニュージーランドや英国でもそのような資料は学校に正しく保管されていませんでした。しかし日本では、身体測定を含む健康診断を毎年行うことが学校保健安全法に基づく健康診断の一部として、法律で定められています。そのため、私のように成長具合を後から見直すことができるのです。
毎年の身長の伸び幅をグラフにしてみると、大きく成長している最中なのか、成長が落ち着いているのかがわかります。身長の伸び率から成長度合いがわかるため、スポーツにおいても、身体に負担のかからないトレーニングのタイミングを見極めるなど、根拠のあるサポート、後押しをすることができます。
子どもの身体的発育発達の研究は、他の分野と比較すると歴史はそれほど古くありませんが、どんどん新しい知見が増えていますし、昔と比べればスポーツ医学や障がい者スポーツ、そしてコーチングの本なども一般の方にも入手しやすくなりました。さらにプロスポーツ選手が科学的研究をもとにした練習に取り組んだことで結果を出されていますし、そのような練習に基づく指導法についての書籍も出版されています。みなさんが、こういった専門的な情報をもとに、地域で運動やスポーツ指導に役立てていただければうれしいです。子どもたちがよりよく育つための環境づくりに携われるおもしろい学問だと思います。
Profile
溝畑 潤(MIZOHATA Jun)
関西学院大学人間福祉学部 教授。博士(環境人間学)。1999年より現職。日本教育医学会評議員、大阪体育学会副会長、日本ラグビー学会理事長。専門分野は発育発達学やスポーツ方法学、スポーツコーチング学、中でも子どもの身体発育発達に伴う成熟度と体力、運動能力の関係について研究を行う。元ラグビー選手で、関西ラグビーフットボール協会公認レフリー、英国ウェールズやニュージーランドの公認レフリーの資格を持つ。著書に『ジュニア・ユース世代のトレーニング指導法』(みらい、2024年)、『English for Human Welfare Studies』(共著、朝日出版社、2016年)など。
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