WELL-BEING

ソーシャルワーカーとしての指針となった、尊敬する人たち |人生を豊かにした出会い #15

馬場 幸子人間福祉学部 社会福祉学科 教授

私たちの人生は出会いにあふれています。みなさんは、どんな出会いが記憶に残っていますか? ここでは「人生を豊かにした出会い」をテーマに、関西学院の研究者のエピソードを紹介します。彼らの出会いや体験から“豊かさ”について考えてみませんか?

この人ってすごい。この人みたいになりたい。そんな尊敬できるソーシャルワーカーとの出会いが、私の人生に大きな影響を与えてくれました。

一人目は、学部4年生の時、社会福祉士の実習に行った際に担当してくれた、生活保護課の職員の方です。社会福祉士として就職して2年目のまだ若いワーカーさんでした。

その方は、見た目や立場で相手を判断するのではなく、目の前にいる一人ひとりに寄り添って、尊重していました。ソーシャルワーカーとしてのあり方を現場で学んだことで、「やっぱりこの道に進みたい」とあらためて実感することができました。人として大切な価値観や福祉的な視点を育ててくれた、私にとって大切な出会いだったと思います。

その後、大学院を出て、学生相談のカウンセラーとして働き始めて数年が経ち、少し行き詰まりを感じていた頃、京都国際社会福祉センターで行われたグループスーパービジョン(実践家らが援助技術に関する指導を受ける場)に参加しました。そこで出会ったスイス人のスーパーバイザーも尊敬する専門家の一人です。

その方のグループスーパービジョンを受けるために、さまざまな領域の福祉業界の方たちが集まっていて、私も月に1、2回のペースで定期的に通い、3年ほどプログラムを受講していました。

「太陽が当たる方向にちゃんと置いてあげれば植物がすくすくと育っていくように、人も環境を設定してあげることが重要」「高い目標を設定し、挑戦・失敗を繰り返しているうちに疲れてしまってやめてしまう。そうではなく、階段を一歩ずつ上るように進んでいけば、いずれ目標に到達する」。そんな話をしてくださったことを今でもよく覚えています。支援する者としてのものの考え方を示し、専門職としてのスキルを高めてくれたのは、この方だったと思います。

今、あらためて振り返ってみると、尊敬できる人、すてきだなと思う人との出会いは、これまでにたくさんありました。多くの出会いが、人としての大切な価値観を育ててくれたと思います。そして今、私は研究者・教員として社会福祉に携わっています。社会福祉学科の学生で、実際にソーシャルワーカーとして働く人はごくわずかで、ほとんどが企業などに就職していきます。でも、社会福祉学科で学んだものの考え方は、どこへ行っても大事だし、一市民として活用できるはずです。そんな思いを学生たちに伝えることができるのは、私がこれまで出会ってきた人たちのおかげだなと思います。

Profile

馬場 幸子(BAMBA Sachiko)

関西学院大学人間福祉学部社会福祉学科教授。博士(社会福祉学)。関西学院大学卒業後、関西学院大学、ケースウェスタンリザーブ大学の修士課程に進み、イリノイ大学アーバナシャンペイン校で学位を取得。東京学芸大学准教授を経て、2019年より関西学院大学准教授、2021年より現職。スクールソーシャルワーカーの活動の指針となる「スタンダード」の開発・運用の研究や、神戸市児童養護施設連盟の自立支援実務者会に参加し自立支援に関する研究を行っている。

運営元:関西学院 広報室