Happy Easter!|聖書に聞く #30
李 善惠関西学院宣教師、人間福祉学部教授
関西学院のキリスト教関係教員が、聖書の一節を取り上げ、「真に豊かな人生」を生きるヒントをお届けします。
あなたがたはキリストと共に復活させられたのですから、上にあるものを求めなさい。そこでは、キリストが神の右の座に着いておられます。あなたがたの命であるキリストが現れるとき、あなたがたも、キリストと共に栄光に包まれて現れるでしょう。
コロサイの信徒への手紙3章1節、4節
果たしてイエス様は、歴史上に実在したのでしょうか。フラウィウス・ヨセフスが書いた『ユダヤ古代誌(ⅩⅧ、秦剛平訳1980:43~46、山本書店)』には、イェースースという名でイエス様の記載があります。「さてこのころ、イェースースという賢人――実際に、彼を人と呼ぶことが許されるならば――があらわれた。彼は奇跡を行う者であり、また、喜んで真理をうけいれる人たちの教師でもあった。そして、多くのユダヤ人と少なからざるギリシア人とを帰依させた。彼(こそ)はクリストスだったのである。」と記されています。そして、イエス様がこの世でどのように死んで復活されたのかが続いて書いています。「ピラトスは、彼がわれわれの指導者たちによって告発されると、十字架刑の判決を下したが、最初に(彼を)愛するようになった者たちは、彼を見すてようとはしなかった。(すると)彼は三日目に復活して、彼らの中にその姿を見せた。すでに神の予言者たちは、これらのことや、さらに、彼に関するその他無数の驚嘆すべき事柄を語っていたが、それが実現したのである。なお、彼の名にちなんでクリスティアノイと呼ばれる族は、その後現在にいたるまで、連綿として残っている。」歴史書に記載されていることからもわかる通り、イエス様は歴史上の人物に他ならないのです。
キリスト教において重要なお祭りには、クリスマスとイースター(復活祭)がよく取り上げられます。クリスマスは、この世を愛した神様がその独り子のイエス様をこの世に送り出してくださったこと(ヨハネによる福音書3章16節)をお祝いする日で、イースターは、十字架にかけられて亡くなったイエス様が、3日後に復活したことを祝う日です。現在、イースターは「春分の日から数えて最初の満月の次の日曜日」に定められており、今年2025年は去る4月20日でした。このようにキリスト教は、イエス様の誕生だけではなく、彼が十字架上で死を迎え、その後死に打ち勝ち復活されたことを大切にしています。
日本では、クリスマスよりイースターは馴染みの薄い行事かもしれませんが、最近エッグハントやイースターエッグという言葉を聞いたことはありませんか。なぜエッグなのか。死という殻を破って新たな命を生み出す姿がイエス様の復活を象徴するシンボルになったのです。
しかし、どのように死から蘇るのでしょうか。死んだ肉体がどうやって命を得ることができるのでしょうか。なかなか信じ難い話です。イエス様の墓に入ってみた弟子たちもイエス様の復活が信じられませんでした。その当時でさえ信じがたい出来事を、今の科学技術の発展した時代に皆さんは信じられますか。この不思議な出来事を、私たちは弟子たちのようにこの目で見ることはできません。しかしながら、復活のイエス様が現れるとき、彼によって贖(あがな)われた私たちもまた、この目で自らの命を確認できる日が来ます。その約束を信じ、イエス様とともに栄光に包まれ輝く復活の日を待ち望みながら、生きて行きたいと思うのです。
Profile
李 善惠(LEE Sunhye)
韓国生まれ。2006年に来日し、2007年から同志社大学大学院社会学研究科(前・後期課程)で学ぶ。博士(社会福祉学)。大韓イエスキリスト教長老派(統合)牧師(韓国)。現在、関西学院宣教師、人間福祉学部教授。 著書に、『賀川豊彦の社会福祉実践と思想が韓国に与えた影響とはなにか』(単著)や『自殺をケアするということ-「弱さ」へのまなざしからみえるもの』(共著)などがある。
運営元:関西学院 広報部